当山は聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)を御本尊としています。
当山の境内は、元々海原に続く入江になっており、そこに聖観世音菩薩像が浮かび打ち上げられたため、里人が「かきの観音」(牡蛎殻のついたという意味)と呼び、信仰の対象になったと言い伝えられています。
観世音菩薩は、世間の人々の救いの求めに応じて様々に姿を変え、直ちに救済に向かう慈悲の菩薩と言われています。
荒波を乗り越えこの地にたどり着いた菩薩様は、何百年という歳月を、優しいまなざしで見守り、どんなことにも乗り越える力をお与えくださっているように思います。
現在は秘仏となっております。
学術研究では、平安末期藤原時代の作と推定され、台座を含めると高さ1.5ⅿの寄木造りで、愛知県の指定文化財に指定されています。
創立年代は未詳ですが、刈谷市内で最古の寺院とされています。
かつては真言宗か天台宗でしたが、室町時代初期・応永年間(1394~1427)に曹洞宗として開山されました。
庭厳門公長老がこの寺に住持していたとき、遠州浜松(現静岡県浜松市)にある普済寺の利山義聰(りざんぎそう)和尚がここに留錫しました。
そのとき庭厳門公長老は、利山義聰和尚の高徳に帰順し、自ら弟子となって、利山義聰和尚を曹洞宗海会寺第一祖としました。
かくして利山義聰和尚の名は広く知れ渡り、その徳を慕って四方から多くの弟子が集まって来たので、この寺だけでは狭くなり、応永20年(1413)に、楞厳寺(現刈谷市天王町)が創立されました。
境内には、シイの巨木があり、その幹周は8.8メートル、樹高は10メートルあります。